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中村天風の「心身統一法」

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スパイで、医師で、ヨガ行者

<波万丈>
中村天風(1876-1968)の生涯はドラマに満ちています。

旧華族に生まれながら、軍事探偵となり蒙古
草原をさまよう。「人斬り天風」と呼ばれ
た。 断頭台をのがれて米国に渡り、コロン
ビア大学医学博士となる。死病である肺結
核をみずから癒さんがためである。

喀血しつつ死地を求めて帰国する途上、カ
イロでヨーガの聖人と出会い、そのままイ
ンドへ向かう。2年半にわたって指導を受
け、ついに悟入転生の機をつかむ。その後、
中国で辛亥革命に参加、孫文政権の最高顧
問となる。帰国後、天風会を創始し、心身
統一法を広めた。


天風に師事した著名人は多く、下記の通りそうそ
うたる名前が連なります。
宇野千代、東郷平八郎、原敬、後藤新平、
山本五十六、双葉山、松下幸之助、
藤平光一、尾崎行雄、稲盛和夫、
広岡達朗、松本幸四郎(7代目)、
園田直、植芝吉祥丸、三遊亭圓生(6代目)
などなど。

天風の講義を作家の宇野千代が記録したのが本
書。親しみやすい天風の口調がそのまま書かれ
ているので臨場感満点です。


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●天風先生座談
著:宇野 千代
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<意識の重性>
病に冒された天風は、アメリカやヨーロッパで名
医・学者を訪ね歩いたが、救いは得られませんで
した。みな「身体」のことしか話さない。ところ
がフランスだけは少し事情が違ったようです。

フランスはさすがに心理学の国だけあって、
医者を始めとして、病いは薬よりも、まず心
だよ。病いを気にしているかぎりは、永久に
治らねェ、ということを、パリの医者だけは
言ってくれた。

けれども依然として天風の病は癒えない。死に場
所を求めて日本へ戻ろうとするとき、インドのヨー
ガ聖人カリアッパ師と出会い、ヒマラヤで指導を
受けます。そして天風は心(意識)の重要性を悟
り、病を克服していくのです。

カリアッパ師から以下のようにいわれたそうです。

いままで、お前が医者でありながら、しかも
アメリカで医者としての学位を持ちながら、
お前のいま持っている病い一つ治せずにいる
のは、そこに大きな欠陥があったからだとい
うことに気がつかないか。

自分の「心」に問題があるというのです。天風は
こう述べます。
人間の思い方考え方が、尊くなるのも卑しく
なるのも、強くなるのも弱くなるのも、正し
くなるのも清くなるのも、結局はこの観念要
素の状態に左右されているということにな
る。

そういうことに、たいていの場合、気がつか
ない。気がつかないどころか、中には、自分
の思い方考え方の間違っていることに、同情
している奴があるだろう。

「こういうときに、こういう考え方をしちゃ
いけないかもしれないが、天風さんのように
偉くなれゃいざ知らず、俺ァ凡夫なんだ。お
まけに人の身の上じゃない。自分の身の上だ
ぞ。これが怒らずにいられるかい」。

そう言って怒っている奴がある。


いつもポジティブ思考でなんていられない。とき
には思いっきりネガティブでいいじゃないか。そ
ういう私たちの甘えを天風はばっさり切り捨てま
す。
真理というものは事情に同情してくれず、ま
た弁護もしてくれない。「お前の場合は別だ
から、まァいいわ、心配しろ。しようがない
わな。そのかわり、体に障らないようにして
おけ」なんて言ってはくれない。

事情はどうあろうとも、われわれの思い方考
え方がすこしでも消極的である場合は、直ち
に、われわれの生きる肉体生命のうえに、驚
くべき、よくない変化が現われて来る。これ
をたいていの人は知りませんよ。(略)知ら
ないから、平気で怒ったり、泣いたり、恐れ
たり、憎んだり恨んだりしているんだよ。


では、私たちはどうすればいいのか。
まず、第一番に、潜在意識、すなわち心の奥
の、大掃除をやらなければいけないんだよ。

全体としてはポジティブ思考を強く薦める内容で
す。そこへ天風の壮絶な人生と命がけの体験が加
わるため、無上の説得力をもって迫ってきます。

勇気のわく一冊です。




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中村天風 成功哲学三部作 単行本 - 2008/10/8
中村 天風 (著), 公益財団法人天風会 (監修)
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「成功の実現」発刊20周年を記念して、天風師の代表著作3冊と貴重な講演録CD(35分)をセットにした《特別愛蔵版》を出版。「成功の実現」「盛大な人生」「心に成功の炎を」の各巻とも、表紙に高級人工スエードを使用した軽い仕様の携帯版。天風ファンなら常に手元に置きたい、講話CD付愛蔵版。

投稿者 kurosaka : 2006年4月18日
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