カリフォルニアの夢十一夜
【インデクス】
2007.3.6 サンフランシスコ快晴なり
2007.3.7 ヘイワードそしてサクラメントへ
2007.3.8 バークレーそしてオークランドへ
2007.3.9 想い出のサンフランシスコ
2007.3.10 ロサンゼルスへ
2007.3.11 もうひとつのレコーディング
2007.3.12 スタジオ・レコーディング
2007.3.13 サンディエゴへ
2007.3.14 ノースリッジにて
2007.3.15 ディズニーランド☆
2007.3.16 音楽教育者協会
【むむす通信】2007.3.6
サンフランシスコ快晴なり
<国際基督教大学>
ICU(International Christian University 国際
基督教大学)のビッグバンド「モダン・ミュージッ
ク・ソサェティ(以下MMS)」は、4年に1度、カリ
フォルニア公演を行なってきました。1991年、1995
年、1999年、2003年、そして今回が5回目の遠征で
す。今回のツアーは、
1.カリフォルニア音楽教育者協会(CMEA)コンファ
レンスでの招待演奏
2.ビル・ライケンバック(Btb)氏をゲストに迎え
てのレコーディング(MMS 4th Album)
3.カリフォルニアの大学・高校を訪問し、名門バン
ドの数々と交流演奏したり、バンド指導を受講。
4.ロサンゼルスのライブハウスで演奏。
5.スタンリー・クラーク(b)バンドやゴードン・
グッドウィンのビッグ・ファット・バンドのライ
ブ鑑賞。
などなど、イベント盛りだくさんの2週間です。
<まずは市内見学>
2007年3月6日(火)夕方、春の陽気の成田空港を
出発。ユナイテッド航空でサンフランシスコまで
約8時間のフライトです。日付変更線を越え、同日
午前に到着。
ツアーマネージャーのビル・ワグナーに迎えられ
て、サンフランシスコ市内見学に向かいます。
クリフハウスから大平洋をのぞみ、ツイン・ピー
クスに登って街を眺望。そのあと金門橋を渡って
サウサリートへ向かって、ここでランチタイム。
画廊やレストランが立ち並び、アートの香り漂う
小さな海辺の町です。
ビルと私は、海に面したシーフード・レストラン
で、クラブ・カクテルとパスタの昼食。うららか
なサンフランシスコ湾をヨットが行きかうのをな
がめながら、今後のビジネスについてブレーンス
トーミングです。
毎年8月に、サンノゼ・ジャズ・フェスティバル
(SJJF)という大きなイベントが開催されていま
す。ビルはそのスタッフでもあります。
SJJFでは、ハイスクールバンドのコンテストも開
催していますので、その優勝バンドと日本のジャ
ズ・フェスティバルとで国際交流イベントをする
にはどうしたらいいか、というプランについて、
あれこれ意見交換しました。
<引き続き観光スポット視察>
MMSはサンフランシスコで自由行動の日があります
ので、選択肢を広げるために、市内をざっとバス
で走りました。金門公園、ジャパンタウン、中華
街、マーケット通り、海岸通りなどを視察。ラン
バート通りでは、急な坂道を歩いて登ったりもし
ました。
そして夕方、フィッシャーマンズ・ワーフにある
ホテルへチェックイン。夕食はピア39の Bubba
Gump Shrimp Company というレストランで、ボ
リュームたっぷりアメリカン・ディナーの「洗礼」
を受けました。
MMSの幹部と明日の打ち合わせを済ませて解散。長
旅の疲れを癒すため、早めに就寝です。
ビルと私は、そのあと別のレストランへ出向き、
今度はワールド・プロジェクト・アメリカ本社の
経営陣数名とミーティング。北京オリンピック、
上海万博、ロンドン・オリンピック、カーネギー
ホール音楽祭、日米国際交流プログラム、東京で
の音楽祭スタートなど、今後数年の事業計画につ
いて話し合いました。
つ、疲れました...。
【むむす通信】2007.3.7
ヘイワードそしてサクラメントへ
<カリフォルニア州立大学にて>
ホテル横のIHOPで軽い朝食をとり、バスでサンフ
ランシスコ湾を渡ります。「ベイブリッジって横
浜の真似か」などと微笑ましいギャグ(どうやら
本気だったみたいですけど)も飛び出し、なごや
かな雰囲気です。
ちなみに、サンフランシスコと対岸を結ぶベイブ
リッジは、現行のものと並行してもう一本の橋を
建設中です。耐震強度の関係で必要なのだとか。
ヘイワードという町にあるカリフォルニア州立大
学イーストベイ校に到着。Dave Eshelman 先生の
ワークショップを受講します。
調子が悪くなったサックスの修理などのため出入
りしたので、指導の全部は聞いていませんが、印
象に残った二つの点は、
1.ダイナミクス
2.タイム感
についてのアドバイスでした。曲の中で音量を落
とせるところはどこかとつねに探して、そこで落
とすように心がけよう。4拍目の裏が早めに入って
しまうので、8分音譜で刻んで感じてみよう、など
など。
つづいて、キャンパス内の「アゴラ」という野外
ステージへ移動し、ランチタイム・コンサートで
す。明るいカリフォルニアの日射しの中で、MMSら
しく正確で力強い演奏を披露します。
次の予定が入っているため、イーストベイ校ビッ
グバンドの演奏は途中で退席しなければなりませ
んでした。短いながらも充実した交流でした。
<アメリカ川>
バスは一路北上し、カリフォルニア州都サクラメ
ントに到着です。バスがリオ・アメリカーノ・ハ
イスクールへ着くと、ホストファミリーのみなさ
んがお待ちかねで、熱い歓迎を受けました。
じつはリオのジャズバンドは2004年に来日してお
り、そのときICU高校でホームステイをしています。
http://www.wpjapan.com/mtarchives/000155.html
そのときの歓待に応えるかたちで、今回は我々を
暖かく迎えてくれました。驚くべきことにという
か、当然かもしれませんが、当時ICU高校のバンド
にいたメンバーが数名、今回のMMS一行に含まれて
いるのです。彼らには「再会」となるわけです。
ところで、スペイン語でリオは「川」、アメリカ
ーノは「アメリカの」です。つまり、学校名は
「アメリカ川高校」という意味です。サクラメン
トを流れる American River にちなんだ名前だそ
うです。
<ホームステイへ>
MMS一行は学校へ楽器を置いて、まずホストファミ
リーへ向かいます。早めの夕食を済ませて、ふた
たび学校へ集合し、夜のジョイント・コンサート
という運びです。
リオ・アメリカーノは全米を代表する名門ハイス
クールバンドです。進んだジャズプログラムがあ
ることで知られ、多くのコンテストで優勝を飾っ
ています。
コンサート第一部で演奏したリオのバンドは、そ
の実力を思う存分発揮。うねるリズム、吠えるホ
ーン、そしてエンタテイメント性にあふれた男声
ヴォーカル。音楽的にもショウとしても楽しめる
見事な演奏です。
第二部に登場した MMS は、時差ぼけと強行スケ
ジュールをものともせず、落ち着いたようす。タ
イトなアンサンブルで聴衆を圧倒し、スタンディ
ング・オベーションと歓声の嵐。アンコールも2曲
演奏しました。
興奮さめやらぬ会場をあとに、ホストファミリー
に連れられて、再び各家庭へと向かいました。ど
うやら多くの家庭が集まって、これからみんなで
アイスクリームを食べに行くそうです。
こうしてMMSアメリカ公演の二日目も、楽しくうれ
しく暮れてゆくのでありました。
【むむす通信】2007.3.8
バークレーそしてオークランドへ
<UCバークレーにて>
サクラメントの朝は、静かでさわやかでした。こ
ういう朝を迎えたのはひさしぶりな気がします。
朝食に食べたゆで卵の味が身体にしみ入る。コー
ヒーの香りの中、なんともいえない多幸感に包ま
れました。
リオ・アメリカーノ高校に別れを告げ、バスはUC
バークレーをめざします。ここではTed Moore
(ds)、Steve Campos(tp)という二人の先生の
バンド指導を受講。両講師とも絶賛に次ぐ絶賛。
MMSのタイトなサウンドをほめちぎってくださいま
した。
印象に残ったアドバイスを三点あげると、
1.ダイナミクスに注意。フォルテを活かすために、
落とせるところは可能な限り落とす。ドラマを
生むために。
2.スペースを作ろう。リズム隊が隙間なく音を埋
めているので自由さが出せない。もっとスペー
スを作ろう。
3.つねに力が入っているので、もっとリラックス
して、楽な感じが出せるとさらにいい。
というところでしょうか。いずれも「あえて言え
ば」ということでしたが。
このあと、UCバークレーのジャズスタジオで、学
生たちを聴衆にミニコンサート(といっても1時間
の演奏)を披露しました。
<Yoshi's へ>
UCバークレーでしばらく自由行動。そしてオーク
ランドにあるベストミュージックという楽器屋さ
んへ。ここで壊れたバリトンサックスも修理でき
ました。
ジャック・ロンドン・スクエアへ向かい各自夕食。
私は旧友とディナーをともにしました。彼女の名
前はDarien Louie。中国系アメリカ人で、1984年
にUCバークレー・ジャズ・アンサンブルのボーカ
ルとして来日したときに知り合いました(ちなみ
にそのツアーで、UCバークレー・ジャズ・アンサ
ンブルはICUも訪問して演奏しました)。
以来23年間、クリスマスカードのやりとりを続け、
私がカリフォルニアへ行ったときには、何度か会っ
ています。Darien の夫 Michael さんと、ビルも
加わって4人でToni Roma's のリブステーキをいた
だきました。
さて、Yoshi's です。MMS の全員で「Stanley
Clarke」のショウを楽しみます。keyboard x 2、
violin、drums、そして bass という5人編成。
いやあ、圧巻でした。
Stanley はアコースティックベースを、時にはエ
レキベースのように、あるいはギターのように、
さらにチェロのように、パーカッションのように
縦横に弾きこなし、聴衆の心をぐいぐいつかんで
いきます。
バンドも強力で、特にドラムは息をもつかせぬス
リリングなプレイの連続。衝撃的なギグでした。
これで$25は安い!
ライブの興奮を胸にバスでサンフランシスコへ戻
ります。ベイブリッジの途中にある宝島へ立ち寄
り、100万ドルの夜景も鑑賞。リッチな夜でした。
【むむす通信】2007.3.9
想い出のサンフランシスコ
<The Rock アルカトラズ>
今日のMMSはフリーデー。思い思いにサンフランシ
スコを楽しみます。午前中はアルカトラズ・ツア
ーから始める人が多かったですね。私も、生まれ
てはじめてアルカトラズに上陸です。
いうまでもなく、アルカトラズは刑務所として使
われていた島で、マフィアの大物アル・カポネが
収監されていたことでも有名です。
ひとりひとリがオーディオセットを首から下げて、
音声の案内(日本語もあります)にしたがって見
学するので、刑務所内のようすがくわしくわかり
ます。服役囚の生活がリアルにわかって、たいへ
ん興味深い施設でした。
サンフランシスコに戻って、Pier39でランチ。名
物クラムチャウダーに舌鼓を打ちます。ああ、やっ
ぱり娑婆はいいなあ。
<チャイナタウン>
午後は、それぞれ自由行動。観光に出かける人、
昼寝で体力を取り戻す人、個人練する人、セク練
する人たち...。
そして、夕方には恒例のチャイナタウンツアーを
募りました。当初はかなりたくさんの希望者がい
たようですが、最終的には藤澤さん、深栖くん、
稲垣くんの三名が参加。少数精鋭(?)での中華
料理となりました。
行きつけのジャクソン通り豆花飯荘は、川真過橋
園と改称していました(Z&Y Restaurant)。窓ガ
ラスに「原豆花飯荘」と書いてあるのがおもしろ
いですね。
この店は観光客向けというよりは、地元の中国人
向けで、安くておいしいものを食べさせてくれま
す。今日も隣のテーブルで鍋を囲んでいる中国人
大家族のようすが、気になって仕方ありませんで
した...。
私たちは、ビール、薄切り豚肉と野菜の炒めもの、
海老のブラックビーン炒め、麻婆豆腐、酸辣湯、
白飯などを注文し、満腹&満足。これでひとり11
ドルです。
さあ、明日からロサンゼルスです☆
【むむす通信】2007.3.10
ロサンゼルスへ
<空港にて>
サンフランシスコ空港では、グループチェックイ
ンができてスムーズでした。セキュリティはうわ
さ通りの厳しさで、私としたことが、うっかり洗
面用具を手荷物に入れたため、大事な「健康ウル
トラ蜂蜜」が没収されてしまいました。おまけに
靴は脱がされる、ベルトははずされる、身体検査
はされる、いろんな経験をさせていただきました☆
そんな「騒動」に巻き込まれたのは私ひとりで、
MMSのみなさんは無事ゲートに到着。全体としては、
なんの問題もなくロサンゼルスへ向かったのであ
りました。
ロスの空港に着くと、そこに、ゲンちゃんが登場
したではありませんか。1999年、2003年と2回の
ツアーに参加した坂本弦くん(btb)が、Bill
Reichenbach に会いたい一心で、もとい、後輩た
ちのことを思う熱い先輩心で、家族の反対を押し
切って三度目の渡米を果たしたのであります。涙
なくしては語れない美談です:)
<ビッグ・ファット・バンド>
ファーマーズ・マーケットでおいしいフレッシュ・
オレンジジュースを飲んだりランチをいただいた
り。その後、ハリウッド、サンセット大通り、ビ
バリーヒルズ、ロデオ・ドライブを抜けて、アナ
ハイムのホテルに向かいました。
夜はみんなで、Gordon Goodwin's Big Phat Band
の鑑賞です。才能あふれる作曲家 Gordon Goodwin
が作り上げた、人気・実力ともに世界でトップク
ラスのスーパービッグバンド。それが Big Phat
Band。私たちのロス滞在期間中にライブが開催さ
れていた幸運に感謝です。
じつは、MMS は Big Phat Band と深いかかわりが
あります。リードトロンボーンの Andy Martin
http://www.wpjapan.com/mtarchives/000158.html
とは2005年に、リードトランペットの Wayne
Bergeron
http://www.wpjapan.com/mtarchives/000194.html
とは2006年に共演しているのです。しかも、リード
アルトの Eric Marienthal
http://www.wpjapan.com/mtarchives/000229.html
とは今年の4月に東京で共演予定。
ステージ上から Gordon Goodwin が、「今日は日
本からも会場に来てくれています」と私たちのこ
とを紹介してくれました。
生で Big Phat Band を聞くのは初めてでしたが、
演奏はさすがの貫禄。迫力があるのにうるさくな
い。クリアなアンサンブル、コントロールのきい
たダイナミクス、豊かな遊び心、流麗なソロ。そ
してストーリーを感じさせる Gordon の作品群。
どれをとっても一流の職人技です。
アメリカでは、デイライト・セービング・タイム
(夏時間)への切り換えが今年から早まり、明日
からサマータイム。つまり、今夜は睡眠が一時間
少なくなるということです。
空路の移動、観光、ライブ鑑賞でけっこう疲れま
したが、明日も予定がいっぱい。スケジュールは
きついけど、カリフォルニアで充実した毎日を送っ
ています。
さあ、明日はどんなワクワクと出会えるか楽しみ
です◎
【むむす通信】2007.3.11
もうひとつのレコーディング
<ワークショップ受講>
午前中は Fullerton College で Jim Linahon 氏
のバンド指導を受講しました。Linahon 氏は明日
のレコーディングのプロデューサーでもあり、熱
血指導でも有名です。
指導の中心はやはりダイナミクス。「ひとつの音
をただ伸ばして吹いてはいけない。かならず音量
を変化させること」「その音はどこへ向かうのか。
クレシェンドするのかデクレシェンドするのか。
譜面に指定してなくてもつねにそれを考えよう」
「音量を落とせるチャンスがないかよく探そう」
などなど。
昼は New Port Beach へ向かい海辺のランチとしゃ
れこむはずだったんですが、猛暑の日曜日とあっ
て多くの人がビーチに詰めかけて大渋滞。50分と
いう限られた時間で大急ぎのランチタイムでした。
<ライブレコーディング>
ホテルへ戻り、さっと着替えてロスのダウンタウ
ンへ。Rosalie and Alva Performance Gallery で
演奏です。このライブは、「リスナーとアーティス
トと会場をむすぶコミュニティ」である
www.cliquehear.com
の活動として開催されました。ネットとライブの
融合をめざしているのだそうです。
ということで、主催者側がマルチトラックでライ
ブレコーディング。それを収録したハードディス
クを(おそらく)実費で譲ってくださいました。
明日のスタジオ・レコーディングに先がけて、ラ
イブ版も録音できてラッキーです☆
ツアーの疲れが出たのか、MMSの演奏は、細かいと
ころに課題が出て来たようです。ただ、聞いてい
る側からすると、今日は無駄な力が抜けて、逆に
いい演奏だったと感じました。
空手の稽古でも、ヘトヘトに疲れ果てたときに、
すごく威力のあるいい突きができたりするそうで
す。そんな現象なのかもしれません。
<ハードロック・カフェ・ハリウッド>
ユニバーサルスタジオにあるハードロック・カフェ
で夕食です。パークの外にあるショッピング街の
一角にあるのですが、どのお店も派手なネオンと
BGMにあふれていて、レストランまでそぞろ歩くだ
けでも別世界。
こうして長い一日が終わりました。明日は、いよ
いよ Bill Reichenbach 氏を迎えてスタジオでの
レコーディングです。
【むむす通信】2007.3.12
スタジオ・レコーディング
<4枚目のアルバム>
MMSは4年に1度アメリカ公演を行なっています。こ
れまでに4度渡米し、うち3回はロサンゼルスでレ
コーディングも行ないました。
1995年 Chuck Findley(tp)をゲストに
CD「Celebration」を制作。
1999年 Gary Foster(as)をゲストに
CD「Gordian Knot」を制作。
2003年 Wayne Bergeron & Kei Akagiをゲストに
CD「Locus」を制作。
そして今回は、Bill Reichenbach (btb)をゲスト
に迎えてのレコーディングです。
Bill Reichen Bachは、バディ・リッチ楽団やトシ
コ・アキヨシ・ビッグバンドで活躍したトロンボ
ーン奏者。特にバストロンボーンでのソロは評価が
高く、George Roberts、David Taylorとともに「世
界三大バストロンボーン奏者」と評する人もおら
れます。
<スタジオへ>
1日(12時間)かけて8曲を収録。場所はCDのプロ
デューサーでもあるJim Linahon氏のスタジオ。小
さいながら最新のデジタル機器に囲まれた美しい
建物です。
ドラムとべースはブースに入り、ピアノはついたて
で仕切られて演奏。プロデューサーでありエンジ
ニアでもあるJimさんと演奏者は、ヘッドホンを通
じての会話です。ICUの学生は英語がわかるので、
こんなときうまくコミュニケーションできていい
ですね。
【曲目】
1.Magic Flea
2.Carmelo's by the Freeway
3.Goodby Yesterday
4.Nothing Personal
5.Nica's Dream
6.Bouncin' with Bud
7.Cute
8.The Gypsy
スタジオに入るのも、ヘッドセットをして演奏す
るのも、プロ用の機器で録音するのも、ソロを別
録りするのも、音源を「切り貼り」して編集する
のも、なにもかも新鮮な経験。レコーディングの
大変さ、そして楽しさを味わういい機会となりま
した。
今回収録したアルバム「Nothing Personal」は、
順調にいけば5月末くらいにリリースできそうです。
【むむす通信】2007.3.13
サンディエゴへ
<合同練習>
MMSは一路サンディエゴをめざします。サンディエ
ゴ州立大学(以下SDSU)で教鞭をとる Bill Yeager
氏は、かつて「LA Jazz Workshop」という知る人
ぞ知る名ビッグバンドのリーダーとして、多くの
ジャズミュージシャンを育てました。
私は1985年3月に、当時所属していた学生バンドの
ツアーでカリフォルニアを訪れました。そのときに
Carmelo'sというライブハウスへ行って、LA Jazz
Workshop の演奏を聞いています。22年前のことで
すね。ちなみに、そのときのリードトランペット
が Wayne Bergeron で、ここで Wayne を知ったこ
とが、のちに彼と一緒に仕事をするきっかけとな
りました。Carmelo's がとりもつ縁です。
そして、今回MMSは「Carmelo's by the Freeway」
というBob Florence の曲を持って来ています。
Bill Yeager氏は同バンドに在籍したことがありま
す。いろんな人間関係がからみあっていておもし
ろいですね。
さて今日のワークショップは、SDSUの学生とMMSが
一席おきに交互に座り、お互いの曲を一緒に演奏
するというスタイル。合同練習会のような形で、
とても楽しく盛り上がりました。
<夜のコンサート>
キャンパス内で昼食を済ませてから、バスでサン
ディエゴの旧市街を訪問。しばし散策です。SDSU
キャンパスへ戻ってから、Smith Recital Hall で
演奏準備。今日はSDSU Tuesday Night Concert
Series への出演です。
リードトランペットの2名(アフロくん、ヤスくん)
がどちらも過労でダウンしたため、大事をとって
今日は休んでもらうことにしました。そこでSDSU
の学生にトラをお願いしました。3名のトランペッ
ト奏者がお手伝いしてくださいましたが、みな本
番直前にかけつけて、ノーリハで本番にもかかわ
らず、見事な演奏。初見強いな〜。
ツアーを通じていろんな指導を受け、プロの演奏
を聞き、本番の回数を重ねたことで、MMSの演奏は
確実に上達しています。わずかな日数ではありま
すが、集中的に情報をインプットし、それを吸収
しているのです。
演奏終了後、今度はサンディエゴの新市街である
ガスランプ地区へ向かい、各自で夕食をとりまし
た。今日も長い一日でした。おつかれさま。
【むむす通信】2007.3.14
ノースリッジにて
<ワークショップ>
今日のMMSは、カリフォルニア州立大学ノースリッ
ジ校(以下CSUN)を訪問し、Matt Harris 氏のワ
ークショップを受講しました。
CSUNの卒業生としては、Big Phat Band を率いる
Gordon Goodwin が有名です。ほかに George Stone
という作曲家もたくさんの名曲を書いています。
Harris 氏は、メイナード・ファーガソン楽団やバ
ディ・リッチ楽団に在籍したピアニストであり、
作曲家としても多くの作品を提供しています。現
在は、全米屈指のジャズ・プログラムを持つ CSUN
のAバンドで教鞭をとっておられます。
MMS の演奏に対して Harris 氏のアドバイス。
1.音量を落とせるところを探して落とすこと。そ
れによってフォルテが生きてくる。
2.リズム隊は音で埋めつくしてしまわないこと。
スペースを作ることによって、音楽的対話が可
能になる。
3.インプロヴィゼーションについては、みんなが
基礎的なピアノを学ぶと有意義だろう。
最後に、ペンタトニックを使ったシンプルな即興
の練習方法を紹介。みんなで実践してみました。
楽しい☆
<体調不良者続出!>
きのうから具合のよくないアフロくんとヤスくん
は、小康状態を取り戻したり悪くなったりの繰り
返しです。くわえてトロンボーンのユウコさん、
トランペットのユウコさんも体調が思わしくなく、
この4人は近くのクリニックで診察を受け、薬を処
方してもらいました。
夕方になって、サックスのマチコさんもダウン。
アフロくん、ヤスくん、マチコさんの3人はホーム
ステイをあきらめ、ホテルをとって休むことにし
ました。
カリフォルニアではインフルエンザの流行が始まっ
たところだそうです。長いツアーのハードスケ
ジュールで体力が落ちているので、ウィルスに感
染した可能性が考えられるとのこと。とにかく休
養が必要です。
<合同演奏>
夜はキャンパス内の Recital Hall で、CSUNバン
ドとMMSの合同演奏会です。カラーのまったく異な
る二つのバンドの共演。お互いに刺激があったと
思います。
演奏終了後、両バンドでピザ・パーティー。それ
ぞれのホストファミリーと対面し、ホームステイ
に向かいました。
ダウンしたみんな、明日は元気になりますように◎
【むむす通信】2007.3.15
ディズニーランド☆
<カーネーションプラザ>
CSUNでのホームステイが明けて、カリフォルニア
らしくまぶしい陽光のすばらしい朝です。みんな
の表情は笑顔がいっぱい、それぞれに楽しい思い
出を作れたようです。
きのう調子の悪かった二人のユウコさんも元気に
なり、「ホームステイに行ってよかった」とのこ
と。ホテルに泊まっていたアフロくんとヤスくん
も、ゆっくり休んで回復し、食欲がモリモリ湧い
てきたようです。「ラーメン食いてえ」だとか。
やはりホテルに泊まったマチコさんは、まだ少し
頭痛が残っていますが、薬が効いてくると楽にな
るようです。それとは別にベースのフジコさんの
気分が悪いそうで、少し休養が必要です。
さて、ノースリッジを後にしたMMSは、ディズニー
ランドへ向かいます。園内のプラザ・ガーデンズ・
ステージで演奏です。ここは以前「カーネーショ
ン・プラザ」と呼ばれていた場所で、カウント・
ベイシーやウディ・ハーマンなど、著名な楽団も
演奏したことのある歴史的な会場です。
通常はあまりお客さんが入らないのですが、今日
は予想外にたくさんの聴衆。MMSの勢いのある演奏
に引き寄せられて大勢集まってくださいました。
アフロくん、ヤスくんも復活して、ようやくMMSサ
ウンドが戻りました。
<ディズニー満喫>
演奏を終えてからホテルへ再チェックイン。あら
ためてパークへ。今回はディズニーランドとカリ
フォルニア・アドベンチャーの両方を行き来でき
るチケットだったので、夜までじっくり遊べます。
ディズニーランド・リゾートでしばしの自由行動
です。
ビルと私も両園内を散策。リニューアルした「カ
リブの海賊」や「スペースマウンテン」をエンジョ
イしました。ほかに「インディアナ・ジョーンズ」
「タワー・オブ・テラー」「イッツ・タフ・トゥ・
ビー・バグ」「マペット・ヴィジョン」「モンス
ターズ・インク」「ソアリン・オーヴァー・カリ
フォルニア」などのアトラクションを満喫です。
ああ、夢のカリフォルニア☆
明日はいよいよツアー最終公演です。
【むむす通信】2007.3.16
音楽教育者協会
<教育者のコンファレンス>
カリフォルニア州音楽教育者協会(California
Music Educators Association 以下CMEA)のコン
ファレンスが年に一回開催されています。場所は
州内持ち回りで、今年はロサンゼルスのオンタリ
オ・コンベンションセンターで行なわれます。
日本では吹奏楽やジャズバンドはクラブ活動とし
て課外に行なわれることが一般的ですけれども、
アメリカの場合、多くが授業の一環として行なわ
れます。指導するのはバンドディレクターの先生。
日本の場合は社会の先生が吹奏楽を指導したりし
ますが、アメリカでは専門教育を受けて資格を持っ
た人が、バンドディレクターとして学校に就職し
て、バンドの授業を行ないます。
CMEAは、そのようなバンドディレクターの先生方
が情報収集を行なうための見本市。すぐれたバン
ドの演奏を聞いたり、譜面、楽器、指導法、音楽
祭、ツアーなどの最新情報を入手するために集ま
ります。
<お客さんは音楽の専門家>
MMSのアメリカツアー最終公演は、CMEAコンファレ
ンスでのコンサート。聴衆のほとんどが音楽教育
者という、いわば専門家ばかりを前にしての演奏
となります。
ハードスケジュールや体調不良を乗り越えて、最
後の演奏(1時間)に全力を注ぎます。アンコール
にこたえて、吉田治作曲「Replay」で、今回のア
メリカ公演をしめくくりました。
会場には、今回のツアーで最初にワークショップ
をしていただいた Dave Eshelman 先生もお見えに
なっていました。アメリカでのMMSの演奏を、最初
と最後に聞いてくださいました。
<レインフォレスト・カフェ>
きのうから体調を崩しているフジコさんは、演奏
後の体調を見て、打ち上げには参加せずホテルへ
戻ることにしました。
今回のツアーの打ち上げは、オンタリオ・ミルズ・
モール内のレインフォレスト・カフェというレス
トランで。
●CSUイーストベイでの演奏、●リオ・アメリカー
ノとの交流、●UCバークレーでの演奏、●Stanley
Klarke のライブ、●サンフランシスコのフリータ
イム、●ファーマーズマーケット、●Big Phat Band
のライブ、●Jim Linahon 氏のワークショップ、
●ライブハウスでの演奏、●Bill Reichenbach 氏
とのレコーディング、●サンディエゴでの演奏、
●CSUNのホームステイ、●ディズニーランドの演
奏、●CMEAでの演奏などなど。
次々とイベントを経験し、たくさんの人に会い、
大量の情報を取り入れた11日間でした。体力の限
界まで学び、遊び、そして吸収するぜいたくな時
間。CDの完成が待ち遠しいです。
MMS一行は、明朝8:00にホテルを出発し、ロサンゼ
ルス空港から成田へ向かいます。
みなさん、お疲れさまでした☆
投稿者 kurosaka : 2007年3月22日