上達しよう(Get Better !)
ステラジャムの合言葉
ステラジャムの正式名称は「国際ジュニアジャズオーケ
ストラ・フェスティバル」。形式的にはコンテストでも
ありますが、内容的には教育イベントです。
合言葉は「Get Better !」。現在の状態がどうであるか
ではなく、これからどうやって上達していくかにフォー
カスしているのです。
もちろん出場団体は自分たちの順位が気になる。これは
やむを得ないことだと思います。しかし審査や採点は、
そのバンドの「ある側面」を切り取ったものにすぎませ
ん。審査方式が異なればまったく別の順位がつくと考え
られるのです。
審査票はこうして設計された
ステラジャムでは特殊な配点をしています。
1.サウンド
2.アンサンブル
3.リズム
4.グルーヴ感
5.ソロ
の5項目を各10点満点とし、その合計を出します。
この審査票を作成するにあたって、アメリカで開催され
ている約20のジャズコンテストの審査票を比較検討し
ました。また、水行末自身が企画した過去4回のコンテ
スト審査票も参考にしました。そして杉山審査委員長と
議論を重ねてできあがったのがステラジャム審査票です。
課題曲は自由曲の2倍の比率、つまり100点満点で加算
されます。一方、自由曲は曲数で割りますので、何曲演
奏しても全部で50点にしかなりません。
つまり審査員一人あたりの持ち点は150点(課題曲100
点+自由曲50点)ということです。6名の審査員のうち
最高点と最低点をカットして、残り4名分の得点を合計
したものが、そのバンドの総得点(600点満点)となり
ます。
順位はかなり変動する
たとえば自由曲の配点を増やしたらどうなるでしょう。
最高点と最低点をカットしなかったら? 順位はガラリ
と違うものになります(実際に試算してみたことがあり
ます)。これがコンテストというものの現実なのです。
コンテスト主催者として適切な発言かという批判がある
のを承知であえて申し上げれば、順位にこだわるのはあ
まり意味がない。むしろ競い合いはほどほどにして、関
心を自己錬磨へ向けるほうがよほど有意義だと考えます。
この「思想」がステラジャムを一般のコンテストと大き
く違うものにしているのです。
分析手法の提案
6名の審査員はローランドの録音機を手にして、各バン
ドの演奏に合わせてコメントを吹き込みます。これを
「リアルタイムコメント」といいます。
【例】2010年グランプリバンド法政大学
宮嶋みぎわ先生のリアルタイムコメント
今年のリアルタイムコメントも、近日中にネット上で公
開される予定です。また審査票のコピーも各団体へ渡さ
れます。これらの情報を使って、たとえば以下のような
分析を行なうことができます。
1.課題曲について、審査票の5項目をレーダーチャート
化する。
2.それを6名の審査員のそれぞれについて行なう。
3.そのうえでバンドの課題をメンバー間で共有する。
4.バンドの課題が明確になった時点で、6名の審査員に
よるリアルタイムコメントを聞き比べ、課題をより明
確に把握する。
5.さらに上位入賞団体のリアルタイムコメントと比較し
て、練習の方向性を明らかにする。
6.自由曲についてもバンドの課題を整理する。
このように緻密な分析をすることで、自分たちの長所と
課題が明らかになり、それを解決するための練習方針を
定めることができるわけです。
勝った負けたという順位争いを超えて、本当の実力向上
に向けて、これらの情報を活用していただければこれに
勝る喜びはありません。
ステラジャム総合プロデューサー 黒坂洋介
投稿者 kurosaka : 2011年9月23日