西川政夫さんの思い出
名古屋の社会人ビッグバンド「レアサウンズ・ジャズ・オーケストラ」のリーダー西川政夫さんが、7年半の闘病生活を経て、本日午前5時、帰らぬ人となられました。
つい先月、エリック・マリエンサル公演のとき、名古屋ブルーノートの楽屋でお会いしたのが最後となりました。
1991年に石川県七尾市和倉温泉で開催されたモントレー・ジャズ・フェスティバル・イン能登の関連イベント「NOTO JAZZ WARS」にレアサウンズがご参加いただいて以来、17年にわたるお付き合いです。
翌1992年のNOTO JAZZ WARS、1997年のアメリカ公演(Monterey Jazz Festivalに出演)のほか、以下のゲスト共演イベントにおいてご一緒させていただきました。
レポートがあるものについては、レアサウンズとの共演部分を引用しました(2000年のみアーティスト本人によるレポート)。
1995年 ボビー・シュー(tp)
1998年 ボビー・シュー(tp)
1999年 ウエイン・バージロン(tp)
<きめ細かい観察 ー5月3日ー>
名古屋ナディア・パーク内アートピア・ホールで、
レアサウンズ・ジャズ・オーケストラと共演。疲
れを知らないウエインのハイノートが鳴りひびき、
会場は騒然。
「日々の練習をただの作業にしてはいけな
い」。たとえばウォームアップをする時も、
たえず自分のベストコンディションと現在の
状態を比較し、確認しながら練習する。漫然
と音を鳴らしてはいけないのだ。
ここで細かな観察能力が必要となる。つねに
自分の音と体をチェックし、わずかな違いを
発見しては修正していく、そういう緻密なト
レーニングを積み重ねることが上達の秘訣だ
からだ。
ウエインはロサンゼルスのスタジオで、シン
セサイザーと一緒にプレイする機会が多くあ
る。そんなときに求められるのは、きわめて
正確なピッチである。なにしろ、相手はコン
ピュータ制御の楽器、それに正しい音程で合
わせるためには、並はずれた繊細な観察能力
が要求される。
2000年 ブルース・ポールソン(tb)
After a fine breakfast with some of the band
members, Mr. Kurasaka and I took the train to
Nagoya. Here we were to meet with the members
of the Rare Sounds Jazz Orchestra. This band
had played at the 1997 Monterey Jazz Festival.
The rehearsal took place at the concert site,
which was a state of the art concert hall, the
Nagoya City Art Creation Center. Very
beautiful, with excellent equipment and a very
helpful stage crew. Everyone worked together
to make things very comfortable.
Once again the band was well prepared. The
lead trumpet met with me before the rehearsal
to ask how I planned to do each piece and we
sailed through the rehearsal.
Throughout this trip I have been so impressed
with the level of preparation of each band.
They have shown a thorough understanding of
the arrangements and any problems have been
quickly solved.
Of course at this point I must emphasize the
great help of my host, Yosuke Kurasaka. In
addition to keeping every part of the tour on
track, he stood at my side during the
rehearsals and his interpreting skills kept
everything running smoothly. Of course it is
essential that the interpreter at a rehearsal
be familiar with music and Mr. Kurasaka is a
former trumpet player.
Band leader Masao Nishkawa emceed the concert
that evening which went very well, with nice
work by all the sections. A strong drummer kept
things rolling.
I was pleased to see the fine trombone section
featured on a nice piece called "Bone Heads."
And on an up tempo version of T.Monk's
"Rhythmining" one of the trombone soloists, who
played very well, brought down the house when
he finished his solo by singing scat.
That night we all met at a restaurant which
featured one of my favorite dishes, chicken
wings, a Nagoya specialty. They were wonderful
and I'm embarrassed to say how many I ate. I
would love to know the recipe.
During the evening different members of the
band and the crew got up to offer a critique of
the performance. I too, was asked to speak and
said that I thought everyone had done very
well, that we had grown with the experience and
that next time it would be even better. That's
the thing with jazz. It never stands still,
there are always new notes to play.
2001年 ジョージ・グラハム(tp)
<4月30日:名古屋公演>
余談ですが・・・
「ジョージ早口言葉3部作」
1.ジョージが屏風に上手に坊主の絵を描いた
2.坊主も屏風に上手にジョージの絵を描いた
3.ジョージと坊主が屏風に上手にジョージと
坊主の絵を描いた
静岡駅から新幹線で名古屋へ。ホテルにチェックイ
ンして、40分ほど休んでリハーサルへ。今日の会場
は愛知県勤労会館という収容人員1500名の大ホー
ル。ホストバンドは、レアサウンズ・ジャズ・オー
ケストラ。
こんな大きなホールで大丈夫かなあと、正直いって
不安だったのですが、1階席はほぼ満席。26年の歴
史を誇るレアサウンズの動員力に拍手、ですね。
レア単独で1セット目のステージを演奏し、2セット
目からジョージも加わって、以下の曲を共演。
1.A Gentle Breeze
2.Scraping the Top of the Barrel
3.Carmelo's by the Freeway
4.Kinda 2 Kinda 3
5.Stardust
6.Samba Dees Godda Do It
7.Peanut Face
8.The Preacher
ジョージの音色は、どうしてあんなに透明感がある
のでしょう。澄み切った小川のせせらぎを手にす
くったような清涼さ。たとえば Stardust などで
は、会場の空気がキラキラ輝くようです。
※この公演のあと、西川さんは闘病生活に入られま
した。
2002年 ボブ・シェパード(ts)
フォト
<レア・サウンズ・ジャズ・オーケストラ>
名古屋で活躍する社会人ビッグバンド「レアサウ
ンズ・ ジャズ・オーケストラ」もまた、毎年、こ
の時期のホス トバンドを引き受けてくださってい
ます。
昨年5月のジョージ・グラハム公演直後、リーダー
の西川さんが急性白血病に倒れ、闘病生活に入られ
ました。骨髄移植が成功し、いったん退院されたの
ですが、3月25日に再入院。体調はかなり戻られた
とのことで、退院は近そうですが、残念ながら今日
のコンサートには間に合いませんでした。
西川さんはご自身の闘病記をホームページで公開さ
れています。西川さん、あんまり頑張り過ぎない
で、ゆるゆると心身を解きほぐしてください。のん
びりした気分になることも大切ですよ~。またご一
緒に、楽しいこと、いっぱいやりましょう。
http://poco-1.ddo.jp/nikki/
<LIVE & PEACE>
今日の会場は名古屋芸術創造センター。コンサート
のタイトルを「LIVE & PEACE (ライブ・アンド・
ピース)」と銘打ちました。ボブは以下の曲を共
演。
第1部
Moment's Notice
Sphinx
Daahoud
第2部
Mambo De Memo
Stardust
Blues in Hoss's Flat
Somebody's Samba
(アンコール)
Wind Machine
The Preacher
ボブが吹くテナー・サックスの音色は、「しびれ
る」という言葉がぴったりの艶と色気。Stardust の
ようなバラード曲は、男のため息とでも呼びたいサ
ウンドです。
<成長し続ける社会人バンド>
社会人バンドの悩みとしてあげられるのが、「メン
バーの変動が少ないこと」。どうしてもマンネリ化
してしまうのですね。けれども、裏を返せば、ノウ
ハウの蓄積がしやすいという長所にもなります。
事実、レア・サウンズのアンサンブルは、年を重ね
るごとに深みを増している。また、運営面でも、さ
まざまな試みが行なわれています。
たとえば、今日のコンサートの案内は葉書でDMを送
りました。で、「この葉書をお持ちになれば、ご一
緒に来られた方は何名でも特別価格で入場できま
す」というシステムになっています。その結果、600
人のホールが満席になるわけです。マーケティング
に通じたスタッフがおられるようですね。
音楽面や運営面だけでなく、演出面でも、年々凝っ
たステージになってきました。近年すっかりお馴染
みですが、ドラムの斉藤貢司さんのセットには、た
くさんのストロボライトが付いていて、ドラムソロ
の時は、ヘビメタバンドばりの「ピカッ、ピカピ
カッ」という照明になります。これには、ボブも
びっくり。
音響設備は素晴らしいし、スタッフも実に気持ちよ
く働いてくださいます。記録用のビデオも、カメラ4
台を回して撮影する力の入れよう。レア・サウンズ
を応援するスタッフのパワーが、どんどん強くなっ
てきているわけです。すごい。
2003年 サル・クラキオーロ(tp)
フォト
<甘い思い出>
サルは偉大なミュージシャンに会うと「あなたのス
イート・メモリーを聞かせてください」と頼むのだ
そうです。師匠ボビー・シューがサルに語ったのは
以下のような話でした。
ボビーが若い頃、ウディ・ハーマンで3番トランペッ
トを吹いていました。楽団がヨーロッパ公演をした
とき、一緒にツアーしたバンドの中に、ジョン・コ
ルトレーン・カルテットがありました。
ホテルへチェックインすると、バンドマンはみな街
へ食事に出たり、遊んだりします。でも、ボビーは
部屋に荷物を置くと、ホテルの各フロアを歩いて、
コルトレーンの部屋を探したそうです。サックスの
音がすれば、そこがコルトレーンの部屋です.
チェックインするとすぐ練習を始めるので、見つけ
るのは簡単。そしてボビーは廊下に座り込んで、コ
ルトレーンの練習にずっと聞き入っていた。これが
ボビーのスイート・メモリーだとか。
<聖と性>
こんな素敵な話をしんみりと聞かせてくれたかと思
えば、とてもここでは書けない下ネタを連発しては
「ギャハハハハ~! ヘ~イ、ヨウスケ~!」と笑
い転げたりする。考えてみれば、芸術とは生命力の
発露。聖も性も、生き生きと活動する者からは、自
然にあふれ出るのでしょう。
サルはアートと真正面から向き合い、そのエネル
ギーをバンドにも、聴衆にも惜しみなく分け与えて
くれます。サルの演奏がなんともいえず楽しい雰囲
気を生み出し、コンサートホールや宴会場を包んで
しまうのは、こんなところに秘密があるのかもしれ
ません。
<レア・サウンズ・ジャズ・オーケストラ>
今日の公演地は名古屋。レア・サウンズと共演で
す。一昨年、ジョージ・グラハム公演でお世話に
なった直後に、リーダーの西川さんが病に倒れられ
ました。それから長く闘病生活を送っておられまし
たが、順調に回復され、今日は久しぶりにお目にか
かることができました。
西川さんもトランペット奏者ですので、サルの演
奏は喜んでいただけたようです。強烈なサルのパ
ワーを受け取ってくださったのではないかと思いま
す。
1st Set
The Umpire Strikes Back
Days of Wine and Roses
Georgia on My Mind
Jazz-Me Blues
(以下サルと共演)
Just Platonic
Alone Together
Smoke Gets in Your Eyes
Hangin' with Herman
2nd Set
The Days Gone By
His Dream
(以下サルと共演)
A Train Mambo
First Light
Breakfast Wine
Potatoe Blues
(アンコール)Spain, The Preacher
<地道なマーケティング>
「サル爛漫」と銘打ったレア・サウンズのコンサー
ト。400席のテレピアホールは満席です。もっと広
い会場を探したけれども、ほかは予約が入ってい
て、やむなくここを使うことにしたとか。何人もの
問い合わせをお断りしたそうで、いつもながらレア
の集客力には脱帽です。
この動員を支えているのは、レア・サウンズのマー
ケティング力です。毎年、会場でアンケート用紙を
配り、次回の案内を希望する人の住所を入手。往復
葉書で案内を送り、当日清算券を販売します。毎年
この時期にゲストを迎えてコンサートをすることが
定例化しているので、一年間かけて地道に集客する
というわけです。
コンサートは、今日も派手で華やかなエンディン
グ。サルの陽気なトランペットが鳴り響きました。
今年来たお客さんが、こうしてまたレアのファンに
なってくださるといいですね。
打ち上げは、地元ではテレビコマーシャルで有名な
「五一(ごいち)」という和食屋さん。女将が自慢
するだけあって、お寿司のネタは新鮮でおいしかっ
たですよ。
2004年春 フスト・アルマリオ(as)
フォト
<最終公演はボトムライン>
いよいよフスト・アルマリオ日本公演も最終日。名
古屋のライブハウス「ボトムライン」で、レアサウ
ンズ・ジャズ・オーケストラと共演です。
レア・サウンズといえば強力な観客動員が自慢で、
いつもコンサートホールをいっぱいにしています。
ところがメンバーの間から「ライブハウスでもやっ
てみたいよね」という声が出て、今年はボトムライ
ンを選ぶことにしたそうです。もちろん250席が埋ま
るフルハウス状態。
第1部(全曲レア・サウンズのみ)
Perdido
Trela Alegre
You'd Be So Nice to Come Home to
Someone to Watch Over Me
Time Waits No One
It's All Right with Me
第2部
Cruisin' for A Bluesin'(レア・サウンズのみ)
(以下フストと共演)
Sussudio
After You've Gone
My Funny Valentine
Memories
Sylvia
Samba Dees Godda Do It
(以下アンコール)
Georgia on My Mind
No Scuffle Shuffle
The Preacher
コロンビアの歌
<コール&レスポンス>
ライブハウスのいいところは、ステージと客席の距
離が近いこと。ジャズの醍醐味ともいえる「コール
&レスポンス」が会場全体で起こりやすくなりま
す。
上記の通り、アンコールが4曲という結果になったの
も、いかにこのライブが盛り上がったかを物語って
います。もともとアンコール用には3曲しか用意して
いなかったのですが、会場の熱気に応えて、フスト
がコロンビアの歌を付け加えたのです。
静まり返った会場に、フルートの音色がしみわたり
ます。ピンスポットを浴びたフストの姿だけが暗闇
に浮かび上がり、ボトムラインが聖なる空気に包ま
れる。音楽を奏でること、そして生きることの意味
を、ひとりひとりに問いかけるような深い演奏でし
た。
<手羽先で乾杯!>
打ち上げは名古屋名物の手羽先をつまみながら、飲
めや歌えの大騒ぎ。フストもごきげん、レア・サウ
ンズはいつもの通り盛り上がっています。
来年は誰が来るのかまだ決まっていませんが、レア
サウンズではすでに2005年5月1日のホールを予約し
ているとのこと。ありがたいことです。私も気合い
を入れて素晴らしいアーティストを探します。今後
とも末永くお付き合いくださいね~。
2005年 アンディ・マーティン(tb)
<アンディ野生!>
名古屋の社会人ビッグバンド「レアサウンズ・ジャ
ズ・オーケストラ」は、今年結成30周年。おめでと
うございます♪
代表の西川政夫さんは2001年春から、闘病生活を続
けておられます。入退院を繰り返しつつ、バンド
リーダーとして指示を出す日々です。今日も会場に
はお越しになれませんでしたが、コンサートの実行
委員長として影で支えてくださっています。
第1部(レアサウンズのみの演奏)
Sing Sing Sing
Freckle Face
Marugerite
When You're Smiling
Prelude to A Kiss
Be-bop Charlie
第2部(アンディとの共演)
Body & Soul
Fahn & Andy
So Close And Yet So Far
Sentimental Over You
Imagine What A Change Will Do
Caravan
(アンコール)
Just Friends
Preacher
八王子、静岡、名古屋、金沢、富山、広島の各地へ
は、アンディのCDをあらかじめ送ってありました。
大阪と東京は、アンディが来日時に持参する分をあ
てようと考えていました。
ところがギッチョン、かのCD砂漠・大阪でさえ予想
外の売れゆき。さくらんぼでもディスクに羽根が生
えたように売れたため、ほかの東京公演では販売す
る手持ちがなくなってしまったのです。
名古屋でもCDはあれよあれよという間に完売。ご存
じの通り、名古屋人といえば堅実なことで知られる
のに、ことアンディのCDについては躊躇が感じられ
ません。それほどプレイに説得力があるということ
でしょうか。
アンディとレアサウンズの共演会場は、名古屋市芸
術創造センターのホールです。去年までドラムを叩
いておられた斉藤貢司氏(懲役もとい在籍30年。創
設メンバーのお一人)は新コンマスとして指揮をし
ておられます。
レア30年の歴史を振り返る第1部、そしてアンディを
迎えて「現在のレアサウンズ」を披露する第2部。
ステージと客席は一体となって、暖かいムードに包
まれました。
打ち上げは名古屋名物の手羽先、そして味噌煮込み
鍋。熱燗好きのアンディも名古屋料理に舌鼓を打
ち、トロンボーン・セクションとの話に花が咲きま
す。レアサウンズの打ち上げを一言で表現するなら
「ワイルド」。歓声、嬌声(?)、奇声(??)が
飛び交い、居酒屋はジャングルさながらの空間とな
ります。
それでは最後に「名古屋はええよ やっとかめ」をお
贈りして今日のレポートをしめくくりましょう。
http://www.hi-ho.ne.jp/bassan/gallery-flash/nagoya.swf
2005年秋 リッチー・コール(as)
<名古屋へ>
高岡から特急しらさぎ6号に乗り名古屋へ。雨の名古
屋駅まで迎えに出てくださったのはレアサウンズ・
ジャズ・オーケストラのアルトサックス奏者、酒井
志穂さん。
ホテルへチェックインし、リハーサルへ。今日の会場
はボトムラインというかっこいいライブハウスです。
リハの後、いったんホテルへ戻って休み、本番に備え
ます、
<創立30周年記念>
今日のコンサートは、レア・サウンズの創立30周年記
念コンサートの第二弾として開催されました。
ちなみに第一弾はゴールデンウィークに芸
術創造センターでアンディ・マーティンtb
を迎えて行ないました。
第一部(レア・サウンズのみ)
In The Mood
Darn That Dream
Make Way
This Is The Moment
April in Paris
Swingin' for The Fences
第二部(リッチーを迎えて)
Harold's House of Jazz
Heads Up
Green Bay Rd.
Polka Dots And Moonbeams
Palombo
Remember Your Day Off
(アンコール)
Trenton Style
The Preacher
チケットは前売りで300枚が売れ、ボトムラインはフル
ハウス状態。満席で熱気あふれる会場にリッチーのな
めらかなサックスが流れ出します。
超アップテンポの Harold's House of Jazzで第二部の幕
開けです。吹きまくる、吹きまくる、吹きまくる。
これでもか、これでもかさあ、どうだ、どうだ、と
言わんばかりに、リッチーのアルトが暴れ回り、一
曲目から会場は歓喜の拍手に包まれました。
<不死鳥の飛翔>
リッチーのユーモラスでおチャメなしぐさが笑いを誘
います。しかしひとたびバラードを奏でれば純朴な愛
の世界が広がり、口を開いて音楽について語ればまじ
めな芸術談義の雰囲気が漂う。
道化師であり、語り部であり、そして超絶技巧のサッ
クス奏者でもある。野性と知性が同居するチャーミン
グなキャラクター。それがリッチー・コールなのです。
この9年間、日本ではリッチーの名前を目にする機会が
少なかったと思います。ジャズの表舞台から姿を消し
たかのようでした。しかし今回の日本ツアーは、リッ
チーの完全復活を証明するものになりそうです。
不死鳥はふたたび大きく翼を広げ、飛翔せんとしてい
ます。21世紀の「バード」として。
<打ち上げはジャングルで>
...と、「バード」の話で格調高くキメたところですが、
打ち上げは名古屋名物手羽先パーティーでした(共食
いね)。
Harold's からアンコールの Preacher まで一気に駆け抜
けた勢いをそのままに、打ち上げも大いに盛り上がり
ました。レア・サウンズ名物、奇声飛び交うジャング
ル宴会です。
最後は一本じめならぬ「イッピョンじめ」。パンと一
発手を叩く代わりに、ピョンと飛び上がるというユニ
ークなしめです。よ~お、ピョン!
おつかれさまでした。
2006年春 ウエイン・バージロン(tp)
<しゃぶしゃぶに舌鼓>
ウエインはしゃぶしゃぶを食べたことがありませ
ん。東京で知人からしゃぶしゃぶの話を聞いてか
ら、頭の中はしゃぶしゃぶで一杯です。時々、遠い
目をして「しゃぶしゃぶ」とつぶやく可哀想なウエ
イン。ツアーマネージャーの私としては、なるべく
早い機会にしゃぶしゃぶをセッティングしなければ
なりません。
そのチャンスは今日やってきました。静岡から名
古屋へ新幹線で移動し、ホテルへチェックインす
る前、ちょうどお昼に空き時間ができたのです。
名古屋駅前の木曽路へ行って「しゃぶしゃぶラン
チ」をいただきました。
ウエインの反応は、文字どおり「息を飲むような」
感激。恋い焦がれていたしゃぶしゃぶを口にした
瞬間、おお、なんてこったという表情で、動作が
固まってしまいました。幸福、悦楽、絶頂、至高。
そんな気分ですかね☆
<名古屋市芸術創造センター>
名古屋の社会人ビッグバンド「レア・サウンズ・
ジャズ・オーケストラ」。代表の西川政夫さんは
2001年春から、闘病生活を続けておられます。入
退院を繰り返しつつ、バンドリーダーとして指示
を出す日々です。
しかし確実に健康を取り戻されています。今年は
会場へお越しになって、コンサートを鑑賞してく
ださいました。とっても嬉しいことです♪ ウエ
インは Hospital Blues を西川さんに捧げて演奏
しました。
第1部(レアサウンズのみの演奏)
Just Friends
Corner Pocket
Miss Ella
Don't Get Arond Much Anymore
Donna Lee
第2部(ウエインとの共演)
Take The A Train
Waltz of The Flowers
Beauty ANd The Beast
Hospital Blues(西川さんに捧げる)
Caught in The Moment
Friend Like Me
(アンコール)
A NIght in Tunisia
Preacher
静岡、名古屋などへは、ウエインのCDをあらかじ
め送ってありました。例年の実績から枚数を想定
して送ったのですけれども、きのうの静岡も今日
の名古屋も早々と完売。予想以上のペースで売れ
ているため、CDが足りなくなってきました。
ウエインとレア・サウンズの共演会場は、名古屋
市芸術創造センターのホール。去年からコンダク
ターに就任された斉藤貢司氏(懲役もとい在籍31
年。創設メンバーのお一人)のコンマスぶりも板
についてきました。今年のレアはいつにもまして
アンサンブルがタイトで、猛特訓のあとがしのば
れます。ウエインの切り裂くようなハイノートも
絶好調です。
打ち上げは、なつかしさ一杯の「昭和食堂」。レ
トロなムードの店内で、レア・サウンズのワイル
ド宴会が始まります。刺身、手羽先、ミニステー
キ、海鮮サラダ、ひつまぶしなど、ご馳走をいた
だきながら、今日の良き日を胸に刻みます。
コンサート副実行委員長の新美さんは、昨秋リッ
チー・コールから「デビル」の尊称を賜りました。
今宵も命名の由来となった「魔界の高音波」を轟
かせながら、場を盛り上げておられました。演奏
ではウエインの、宴会ではデビルのハイノートが
共鳴したのでした。
レア・サウンズの宴会は、一本じめならぬ「イッ
ピョンじめ」でお開きです。手を打つかわりに、
みんなでピョンと飛び上がります。よぉ?お、
ピョン!
2006年秋 ボビー・シュー(tp)
<天高く龍が舞う>
中日ドラゴンズのリーグ優勝祝賀パレードが行なわ
れたこの日、ボビーと私は名古屋に降り立ちまし
た。今日はレアサウンズ・ジャズ・オーケストラと
の共演です。
会場はライブシアター SUNNY SIDE。地元の学生
ビッグバンドなどがよく利用するライブハウスらし
く、大きなステージと落ち着いた内装の素敵なお店
です。
第1部
Pick Up The Pieces
(ここからボビーが加わります)
Joy Spring
Darn That Dream
Walking Tiptoe
Blue
It's All Right with Me
第2部
Centerpiece
Blue Daniel
Oblivion
Body And Soul
Cotton Tail
アンコール
Touch of Your Lips
The Preacher
バリトンサックス林さんの軽妙な司会で、満員の
会場はなごやかな雰囲気。レアサウンズは合宿まで
組んで今日のコンサートに備えたそうで、引き締
まったアンサンブルです。
そんなバンドの気合いに応えるように、ボビーも絶
好調。ツアー最初のギグからいきなりギュンギュン
飛ばしてきます。
次から次へと溢れ出すフレーズ。要所要所で繰り出
す鮮烈なハイノート。トランペットという楽器の魅
力を次から次へと披露してくれる名演です。
闘病生活6年目に入られたリーダーの西川さんも、今
日はリハからご参加になりました。声にも力があ
り、確実に健康を取り戻されつつあるのを感じまし
た。本番もすべてご覧になり、打ち上げでビールを
飲めるところまで快復されたのは、本当に嬉しいこ
とです。
打ち上げでは、私のリクエストに応えて、名古屋名
物手羽先のてんこもりと、初体験「あんかけスパ」
をご用意くださいました。いやあ、うまいです。ク
セになりそう。名古屋へ来る楽しみが増えました♪
西川レアサウンズ、そして落合ドラゴンズのますま
すのご活躍を祈念しております!
2007年春 エリック・マリエンサル(as)
<エリックのセンター>
このツアーを通じて感じていることですが、エリッ
クは立ち方がすばらしい。身体のよい位置「芯」が
通っている、いわゆる「センターの効いた」立ち方
です。聞けば若い頃からサーフィンをやっていたと
か。サーフボードに乗るようなバランス系のスポー
ツは、体軸(センター)の意識を育てます。サック
スの構え方を見ても、身体の芯をうまく使って、無
駄な力を抜いているのがわかります。一流の演奏
は、一流の身体づかいから、というわかりやすい実
例ですね。
<名古屋市芸術創造センター>
今日の共演は名古屋の社会人ビッグバンド「レア・
サウンズ・ジャズ・オーケストラ」。以下チラシか
ら紹介文を抜粋。
1974年創設。名古屋を中心に活動する社会人ビッグ
バンド。メンバー平均年齢45歳。職業は、医師に博
士、社長に車掌、エリートサラリーマンからふつう
のサラリーマンまで。外見上は単なる中年おやじ達
だが、2回のアメリカ遠征の経験と、近年毎年開催
している海外ミュージシャンとの共演で培われた
「青春真っ只中!」の意気込みで奏でるサウンドは
必聴!
同バンド代表の西川政夫さんは2001年春から闘病生
活を続け、年々確実に健康を取り戻されています。
昨春は会場へお越しになって、コンサートを鑑賞し
てくださいました。昨秋は打ち上げで乾杯できるま
でに快復。今年はリハの時間から会場へお越しにな
り、元気な姿を見せてくださいました。
今宵レア・サウンズとの共演会場は、名古屋市芸術
創造センター。一昨年コンダクターに就任された斉
藤貢司氏(在籍32年。創設メンバーのお一人)のコ
ンマスぶりも絵になっています。
第1部
Cotton Tail
Blue Daniel
No Scuffle Shuffle
ここでエリック登場。
Play That Funky Music
Time with You
Battle of Bop Brothers
第2部
Pick Up The Pieces
Early Autumn
Speak Low
Compared to What
New York State of Mind
Two Samba to Go
ソロプレイ
Samba Del Gringo
(アンコール)
Spain
Preacher
静岡、名古屋などへは、エリックのCDをあらかじめ
送ってありました。例年の実績から枚数を想定して
送ったのですけれども、きのうの静岡も今日の名古
屋も早々と完売。予想以上のペースで売れていま
す!
打ち上げは洋風小料理「ビストロ・ドゥ・ミツ」。
しゃれたムードの店内で、レア・サウンズのワイル
ド宴会が始まります。ローストビーフ、マリネ、冷
パスタ、サーモン、手羽先など、ご馳走をいただき
ながら、興奮のギグを振り返ります。
コンサート実行副委員長の新美さんは、一昨年リッ
チー・コールから「デビル」の尊称を賜りました。
命名の由来となった「魔界の高音波」を発しなが
ら、エリックをあきれさせ、もとい、場を盛り上げ
ておられました:)
レアの宴会は一本じめならぬ「イッピョンじめ」で
お開きです。手を打ちながら、みんなでピョンと飛
び上がります。よぉ~お、ピョン!
2007年秋 ビル・ワトラス(tb)
<名古屋は歓喜の街>
中日ドラゴンズが日本一を決めたこともあり、心な
しか名古屋の空気が華やいでいるようです。今日の
ライブは名門レアサウンズ・ジャズ・オーケストラ
との共演。会場は今池の「得三(とくぞう)」とい
うライブハウス。
みっちりリハーサルをすませた後、ビルは夕食に
今日もうなぎ。エネルギー充填120%です☆
さて、7時から本番。岡崎ジャズストリートと日程が
重なっているにもかかわらず、たくさんのお客さん
にお越しいただき、店内は満席でした。
第一部
Samba Del Gringo
These Foolish Things
ここでビル登場!
No More Blues
That Old Feeling
I'm Getting Sentimental Over You
Mama Llama Samba
第二部
Village Dance
Theme from Chinatown
The Gentle Rain
Never Let Me Go(ワトラス歌)
Caravan
アンコール
Tiger of San Pedro
Preacher
練習を重ねたバンドの重厚なサウンド、軽妙な司
会、暖かい拍手、そしてビルのスーパートロン
ボーン。音楽的にもエンタテイメント的にも楽し
める素晴らしいギグでした。
終演後、そのまま打ち上げ会。ビルの好物である
寿司(特にウニ)やうなぎ(今日二回目!)、私
の好物である手羽先などをご用意いただき、いた
れりつくせりの楽しい宴会です。
最後は恒例の「いっピョンじめ」。手を打ちなが
ら、全員でピョンと飛び上がるのがレアサウンズ
のオレ流です。それではお手を拝借。いよ~ぉ、
ピョン!
2008年春 ボブ・シェパード(ts)
<世にもレアなサウンド>
名古屋の老舗バンド「レアサウンズ・ジャズ・オー
ケストラ」と春のゲスト共演は、今回で11年連続に
なります。今宵の会場は今池のライブハウス「ボト
ムライン」。
第1セット(レアサウンズのみ)
Easy Money
Mama Llama Samba
The Gentle Rain
Blue
These Foolish Things
Caravan
第2セット(ボブ登場)
That Old Black Magic
I Thought About Ewe
Dragon Blues
Strollin'
Solo
Berda's Bounce
It's Allright with Me
アンコール
Blues in Hoss' Flat
The Preacher
熟練の技。さすがの貫禄。猛練習によって練り上
げられたレアサウンズのアンサンブルは見事でし
た。コンサートのプログラムには「筋金入りの中
年魂!」とありますが、いえいえい、若々しいサ
ウンドに敬服です。闘病中のバンドリーダー西川
さんにもきっと喜んでいただける、素晴らしいラ
イブでした。
ところで、第2セット3曲目の「ドラゴンズ・ブ
ルー」ならぬ「ドラゴン・ブルース」は中華風の
シャレた曲。名古屋で演奏するのにふさわしいタ
イトルです。
今日がツアーの中日(なかび/ちゅうにち)とい
うのも、何かの因縁を感じさせますね。くわばら
くわばら(???)
おおいに盛り上がったコンサートに続いて、レア
サウンズ名物「ジャングルけだものパーティー」
の始まりです。宴会場に響き渡るけたたましい歓
声と奇声。ヌエの鳴く夜はおそろしい(なんのこ
とやら)。
ボブも手羽先をおいしそうにほおばりながら、ワ
イルドな打ち上げをエンジョイしていました。
恒例の「いっピョンじめ」でお開き。手を叩きな
がらひとつピョンと飛ぶのがレア流です。それで
はみなさま、今宵のすばらしいライブを祝して、
いよ~! ピョン!!
2008年秋 エリック・マリエンサル(as)
<名古屋酔う>
大阪から名古屋へ移動。お昼は名古屋らしいもの
をということで、エリックと二人で味噌煮込みう
どんをいただきました(@若鯱家)。カレーうど
んが売りのお店だそうですけど、今日は味噌煮込
み。これがまた、おいしかった!
共演するのは名古屋が世界に誇るレアサウンズ・
ジャズ・オーケストラ。会場は名古屋ブルーノー
ト。療養中のリーダー西川さんもリハから会場へ
お越しになり、気分が盛り上がります。
第1セット
Blues for Mr.P
Jeannine
The Gentle Rain
ここでエリック登場
High Maintenance
Ballad for G and E
Evanology
第2セット(エリック全曲参加)
Samba de Orpheus
Speak Low
Worried about You
エリックのソロ
Two Samba to Go
Gorgia on My Mind
Cherokee
アンコール:
My One And Only Love(エリックのソロ)
Play That Funky Music
The Preacher
名物となった林さんのMC。「5分でわかるエリッ
ク・マリエンサル」のコーナーは大好評でした。
司会の名調子にレアの名演奏、そしてエリックの
熱演が加わって、お客さんのレスポンスもたいへ
んに良かったですね。CDが売れる売れる! お買
い上げありがとうございました?☆
そして、いよいよ運命の打ち上げ。ウエイン・
バージロン、アンディ・マーティンら、ロサンゼ
ルスの超一流アーティストたちがみな味わった試
練もとい悦楽、恐怖のもとい歓喜のジャングル・
パーティーが始まります。
会場はシャレた小料理屋風のお店。乾杯の音頭が
始まる前から、怪鳥を思わせるかん高い鳴き声が
店内のそこここにこだましています。
リードアルトのデビル新美氏主宰(?)のレアサ
ウンズ名物ジャングル・パーティーは、今回もし
めやかに、じゃなくて豪快に盛り上がりまくった
のであります。
いまやロスでも評判のこの宴会。参加したことが
スタジオ・ミュージシャンとして一流の証となる
とかならないとか。エリックも存分に楽しみまし
た。レアのみなさん、ありがとうございました◎
こうして振り返ってみると、西川さんおよびレアサ
ウンズと長くお付き合いをさせていただき、たくさ
んの思い出を作れたことに感謝の気持ちで一杯にな
ります。
西川さん、お疲れさまでした。
そして、ありがとうございました。
アーティストたちの弔辞
レアサウンズと共演したことのあるアーティストにリーダー西川さんの訃報を伝えたところ、現在までに以下のアーティストから弔辞が届いています。
ボビー・シュー Bobby Shew
Hi Yosuke,
I'm very sorry to hear this.
He was such a nice man.
Please give my heartfelt condolences to his family.
I hope you are doing well. I think of you quite often.
Bobby
アンディ・マーティン Andy Martin
Hi Yosuke,
Please forward this message:
It is with great sadness that I that Mr. Nishikawa has
passed away. He was the best of hosts and his love
of the music was inspiring to myself and others..
Rest in peace..
Andy Martin
ボブ・シェパード Bob Sheppard
Hello Yosuke, What a lovely man.
I am very sorry to hear about the passing Mr Nishikawa.
Please express my heart felt condolences to his family
and the band. My visits with the Rare Sounds Jazz
Orchestra were a highlight of my trip to Japan.
It was very apparent Mr Nishikawa beautiful spirit and
warm feeling from all the band members. The respect
and fondness for Masao was very apparent and under
his leadership the band sounded at a very high
performance level.
I hope Mr Nishikawa will be remembered with the Rare
Sounds Orch continued success and open musical heart.
My best to all my friends in Nagoya.
Bob Sheppard
Jazz Performing Artist
フスト・アルマリオ Justo Almario
I'm sadden to hear about the passing of MR. Masao
Nishikawa and want to extend my deepest condolences
to his family, to all the members of his orchestra and to
his many friends in Nagoya.
I am very grateful that I had the opportunity to work
with MR. Nishikawa and his wonderful Rare Sounds
Orchestra.
Justo Almario
サル・クラキオーロ Sal Cracchiolo
Dear Yosuke,
Thank you for letting me know about Mr. Nishikawa's
passing. Could you please forward this message to
his family?
In these sad and trying times, I had the honor and privilege
to work with Masao Nishikawa. He was such a gentleman
to me. He made the world a better place through music and
his warmth. With all my respect to the family, please know
that he will be missed around the world.
Respectully yours,
Salvator Cracchiolo
Thank you Yosuke. Sad news. Please give my great sympathy
to his family.
Best wishes,
Sal
投稿者 kurosaka : 2008年12月22日