ボブ・シェパードのサックス奏法講義録
クリニックより
Bob Sheppardプロフィール
マウスピース情報
●すぐれたプレイヤーの録音を聞こう。
●その録音と一緒に吹いてみよう。
●名演奏家と自分の音の違いに気付こう。
●お手本の音に近づけるために吹き方を変えてみよう。
●いろんな実験をしてみよう。
●最初はマネできる程度のやさしい素材から始めよう。
●間違えても構わない。
●ただ録音と同じテンポで吹くことを心がけよう。
●耳に入った音楽をすべてコピーして吹いてみよう。
●頭のなかにあるメロディを吹いてみよう。
●それらをいろんなスタイルで吹いてみよう。
●この練習を一人で、あるいは他人と一緒にやってみよう。
そして、ボブが吹くフレーズをその場でコピーするエクササイズを、一人ずつ実習しました。
●間違えることを怖がらないで吹こう。
●間違えてもいいからテンポキープをしよう。
●間違えてはいけないなんてことはない。
●むしろたくさん間違えなくてはいけないのだ。
奏法についても説明がありました。
●唇を締めすぎないようにしよう。
●リードのバイブレーションを殺さないようにしよう。
●下唇を巻かないようにしよう。
●顎を下げよう。
●エアの流れを速くするときは舌を上げよう。
音楽理論を学ぶべきですかという質問に対しては以下のように回答しました。
●音楽理論は便利なものだが、あとから勉強すればいい。
●まずは徹底的に耳を使う練習をしよう。
●赤ちゃんは文法から言葉を学ばない。まず耳から言葉を覚える。
●それと同じ順番で音楽を学ぼう。
●ソロを音で埋め尽くさないこと。
●メロディを美しく奏でること。
●インプロヴィゼーションの始まりはメロディを崩すことから。
●スケールやパターンの羅列にならないように。
●音楽学校では機械的な演奏を習うがそれではジャズにならない。
●偉大なプレイヤーはみな理論からではなくメロディから学んだ。
●メロディだけ吹いてみる、それを毎回違うように吹いてみよう。
●その曲のコンセプトから離れないようにしよう。
●楽曲の持つ雰囲気を失わないようなソロにしよう。
●All The Things You Areは多くのプレイヤーが挑むが初心者向けではない。
●コードが多いのでビギナーには向かない。
●それでも取り組む場合は、テーマメロディを「ガイド」として使おう。
●それに慣れたら、コードの知識を身につけよう。
●曲のテンポを守りながらコードをアルペジオで演奏してみよう。
●それをいろんなバリエーションで繰り返してみよう。
●コードを明確化するように演奏してみよう。
●次のステップはスケールだ。
●コードとスケールを関係付ける練習をしよう。
●フレーズの始まりと終わりを明解にしてみよう。
●たとえばFmのコードだけを使ってスケールのバリエーションを練習しよう。
●ひとつのコードに対して自信を持ってスケールを吹けるようになろう。
●あらゆるコードにに対して自信を持って演奏できるようになろう。
●よいフィーリング(スイング感など)を失わないようにしよう。
●よいタイム感を失わないようにしよう。
●このようにして、メロディ、コード、スケールをまとめていこう。
●お手本となる音源の細かいところまで聴こう。
●聴いたとおりに吹けるようになろう。
●本ではなく耳が教えてくれる。
●つねにリラックスして演奏しよう。
●若いときはどうしても力任せの演奏になるので注意しよう。
●ブルースでは自分に制限を設けて練習しよう。
●たとえば使う音数を減らしてみよう。
●スペースは音と同じくらい重要だ。
●フレーズをどこに配置するかも重要だ。
●スペースを使ってストーリーを語ろう。
●スペースを音で埋めてしまわないよう注意しよう。
●演奏したいことを次々と吹きまくらないようにしよう。
●自分を制してクリーンな演奏をしよう。
●自分の音を録音して客観的あるいは批判的に聴いてみよう。
●音程や正確さをきびしくチェックしてみよう。
●エゴは上達には必要だが、エゴの満足を目標にしてはいけない。
●正論を大声で延々と語り続けても、誰も聞いてくれないだろう。
●感動させたいという思いをセーブしよう。
●聴衆を感動させたいというのと違う視点を持とう。
●より高い視点、より大きな哲学から演奏をしてみよう。
●自分が偉大だと示したい気持ちを抑えよう。
●それより曲が何を伝えようとしているかに集中しよう。
●私(ボブ)が音楽だけで生計を立てられたのはなぜか?
●それはエゴを主張せず、必要とされることを演奏してきたからではないか?
●たとえば音程が悪ければ仕事は来ない。
●適切でない音を吹けば仕事は来ない。
●美しいサウンドを心がけよう。
●正確なリズム、タイムを心がけよう。
●音楽にはいろんな要素があるので、それらを練習しよう。
●自分の内部世界を現実世界を比較しよう。
●多くのプレイヤーは難しいことばかりをあれこれ練習しすぎだ。
●必要なものを選択してそれに集中しよう。
●たとえばタイムに集中して練習する。
●その中で自分の問題を特定してゆっくり練習しよう。
●そうすることで周辺の問題も解決していく。
●何を練習するかより、どう練習するかを考えよう。
●スケールやパターンの技術練習はもちろん必要だ。
●しかしメロディなど音楽の練習も必要だ。
●両方をバランスよく練習しよう。
●「Happy Birthday」などシンプルなメロディのバリエーションを練習しよう。
●ラジオやCDから聞こえてくるどんなメロディでもすぐマネしてみよう。
●素材はどんなところにもある。
ボブからのワンポイントアドバイス@リハーサル。
●ソロの入りはつねに音量を落とそう。
●そしてソロの間に少しずつ伴奏を盛り上げていこう。
●譜面を見ないで演奏してみよう。
●目ではなく耳を使って演奏しよう。
●ためしに目をつぶって練習してみよう。
●楽器演奏で一番大切なことは何かと問われて即答したのは「サウンド」。
●サウンドには音程の正確さも含まれる。
●どうやって良いサウンドを作るか?
●お手本をよく聴くことだ。
●目で学ぶな、耳で学べ。
この話を聞いていて、エリック・マリエンサルも同じのを言っていたことを思い出しました。「結局、サウンドを突き詰めると、それは音程なんだ」「Wayne Bergeronがリードトランペット奏者の中でも抜きん出ているのは、彼の音程の正確さゆえだ。それがあの魅力的な音色を作り出している」と。
●好きな奏者は誰ですか?
●その奏者の音源と一緒に演奏してますか?
●お手本と自分の音の違いに気づいていますか?
●その違いは何でしょうか?
●どうすればその違いを埋めることができるでしょうか?
●耳が教えてくれます。
●耳が口に教えるのです。
●多くのサックス奏者の音程が悪いのはアンブシュアのせいだと思う。
●みんなマウスピースを噛みすぎている。
●リードを振動させるためにマウスピースは浅く楽に構える。
●口笛を吹くようなつもりで吹く。
●エアのスピードをコントロールするのは唇ではなく舌だ。
●これも口笛と同じ要領だ。
●みんな入れなくていい力を入れて苦労している。
●サックスは楽に吹くべきなんだ。
●つねに新しいことを練習するんだ。
●知っていることやできることばかりをやらないように。
●新しいことをやれば当然間違う。
●だから間違うことは「必要」なんだ。
●間違いを恐れないこと。
●間違いに気づく耳を育てること。
●耳が教えてくれる。
●耳が口に教えてくれるんだ。
●リードは大切。
●マウスピースも大切。
●道具と身体がケンカしてはいけないよ。
●楽に演奏できる道具を探すんだ。
サウンド(音色)の持つ説得力。これまでアメリカの一流ジャズミュージシャンのクリニックを通訳してきましたが、ほとんどのアーティストが最重視するのが「サウンド」です。まず第一にサウンド。そこにはピッチもボリュームも含まれます。
サウンドが悪ければ、つまり音色、音程、音量が適切でなければ仕事は来ない。音楽ビジネスの厳しい現実を生き抜いてきた人たちのアドバイスには重みを感じます。そして今回のツアーでボブが出会った多くのサックス奏者は、プロ・アマを問わず、サウンドに問題を抱えているとボブは言います。
すぐれた技術を持った音楽家が多いのに、サウンドが悪いためにその技術を活かしきれていないのだとか。「彼らにも有益なアドバイスを与えることができるよ」とボブは言います。
Bob Mintzer Big Bandが世界最高レベルのビッグバンドであることに議論の余地なはいでしょう。そのリードアルトを吹くボブ・シェパードは、セクションプレイについても伝えたいことがたくさんあると言います。Minzer Bandに限らず、有名ビッグバンドの多くに参加してきたボブは、間違いなく最上級のセクションプレイヤーでもあるわけです。
Bob Sheppard ボブ・シェパード(sax, fl)
Steps Ahead、Bob Mintzer Big Band など、第一線で活躍するサックス奏者。その極めて多様かつきらびやかな経歴が、彼をジャズ、ポップ、スタジオなどあらゆる分野でのファーストコール・ミュージシャンにしている。木管楽器のスペシャリストであるボブ・シェパードは、サックス、フルート、クラリネットをいつでも自由自在に操る。シェパードは、Billy Childs EnsemblesおよびPeter Erskine trio における不動のメンバーである。彼は何年もSteely DanやBoz Scaggsとツアーし、James Taylor、Natalie Cole、Queen Latifahなどのサポートもしている。特筆すべきは、伝説的な歌手 Joni Mitchell の4枚組アルバムや2007年のグラミー作品「Shine」に参加していること。Joni Mitchell と Herbie Hancock のスタジオビデオでも演奏している。ほかにも、Freddie Hubbard、Chick Corea の Origin、Mike Stern、Randy Brecker、Horace Silver、Lyle Mays、Nat Adderly、Toshiko Akiyoshi/Tabackin Big Band などに参加。また情熱的な教育者として南カリフォルニア大学ソーントン音楽学校で教鞭をとるほか、全米各地の大学へゲストクリニシャンとして招かれている。
MACSAX社からボブ・シェパード・シグネチャーモデルのテナーサックス・マウスピースが発売されている。丸型ラージチェンバーと事実上のノーバッフルという構造で暖かく叙情的なサウンドを作り出し、どの音域でも均等なレスポンスが得られる。ボブ・シェパードはMACSAX社のマウスピースデザイン主任Eric Falconとともに「暖かくて」「大胆で」「色彩豊かな」究極のサウンドをつくり上げた。ビンテージ・オットーリンク「Slant Signature」の伝統に改良を加え、さらに柔軟性が高く、ダイナミクスレンジが広いものとなっています。極限の大音量からバラードのささやくような音色までに対応。あらゆるプレイヤーのサウンド向上に寄与する自信作とのこと。
投稿者 kurosaka : 2018年11月 3日