宮澤裕行(ちゃんみや、おとやん)くんの思い出
最初の出会いは1995年だった。国際基督教大学の学生だった宮澤くんは、同学のビッグバンドであるMMS(Modern Music Society)のリーダーだった。この年、MMSは当社企画でカリフォルニアツアーを行ない、ロサンゼルスで『CELEBRATION』というアルバムを収録した(ゲストはChuck Findley)。
MMSは1999年、2003年、2007年、2014年にもカリフォルニアツアーを行なっており、そのそれぞれに宮澤くんはOBとして深く関わっていた。ちなみにそれぞれの年のアルバムとゲストは以下の通りである。
1999『THE GORDIAN KNOT』(Gary Foster)
2003『LOCUS』(Wayne Bergeron, Kei Akagi)
2007『Nothing Personal』(Bill Reichenbach)
2014『Serendipity』(Andy Martin, Joe La Barbera)
2001年に宮澤くんは私をインターネット放送局JJazz.Netに誘ってくれた。そこでネットビジネスに触れ、ネットとリアルの融合としてのイベントも企画制作することができた。東京ディズニーリゾートを会場として2002年には、 Magic Jazz Town / IKSPIARI 2002 というジャズフェスティバルを開催した。
兄である宮澤利行(あにやん)くんと裕行くんと私の3人で、吉祥寺のカフェで新規事業に関するブレーンストーミングを毎月開催した時期もある。また、彼らのお母さんとは、ゆる体操のセミナーでご一緒したことがある。宮澤家の人々とはいろんなご縁がある。
猫のいる喫茶店として有名だった吉祥寺ドナテロウズでブレストを重ねた。ときには隣のいせやで焼き鳥をつつきながら。どちらも今は閉店してしまったが。
私が作詞、野口茜が作曲を担当した『組曲ZOO』のデモ音源収録にあたり、宮澤くんはレコーディングエンジニアを担当してくれた。収録曲は以下の5曲。
1.風のゾウ祭り
2.しろくまウォーターダンス
3.ペンギンは銀河の吟遊詩人
4.オランウータンらぶらぶ
5.四次元あざらし
また、フォークユニットの蓬-よもぎ-が三軒茶屋の沖縄料理店「ゆいまーる食堂」でライブを行なったとき、宮澤くんは音響機材を運び込んでPAを担当してくれた。同ライブでは「おてんばシーサーの冒険 」「フラミンゴの都合」など蓬-よもぎ-のオリジナル曲を披露。共演したBIG HEARTのボーカル平川美香は、のちにSun Music所属となり、テレビやライブで大活躍している。
2009年に河口湖ステラシアターで始まった国際ジャズオーケストラ・フェスティバル(ステラジャム)に皆勤しているのが新潟県の敬和学園高校Jazz Hornetsだ。近年は、外山昭彦氏、吉田治氏とともにそのバンドの指導に宮澤くんもあたっていた。そして今年9月のステラジャムで、はじめて敬和学園が完全優勝を果たしたのだった。楽団員はもちろん、指導していた三氏も喜びはいかばかりだったか。
宮澤くんとはそのときステラシアターで言葉を交わしたのが最後となってしまった。そのわずか2ヶ月あまりのち、あまりに突然の訃報に驚くとともに、いまだ実感が湧かないというのが正直な気持ちだ。
ここに整理したように、宮澤くんとのつきあいはいつも音楽とともにあり、きわめてクリエイティブな環境で情報交換をしていた。新しい音楽シーンの創造については、彼も「あちら側」から力を貸してくれる気がする。
黒坂洋介 2019年12月
投稿者 kurosaka : 2019年12月 5日